発達障がいをもつ子の親に知ってほしい、本当の意味での「配慮」と「知識」

家族・人間関係

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 発達障がいをもつ子の親に知ってほしい、本当の意味での「配慮」と「知識」

2024.04.30

臨床心理士・公認心理師のyukoです。近年、メディアやSNSでも「発達障がい」について取り上げられることが増え、より多くの人が耳にする言葉になってきています。そんな中、一部の情報が独り歩きし、偏った考え方も生じやすくなっています。発達障がいについて、多くの人に身に着けてほしい知識と姿勢について考えていきます。

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「自閉症って、才能あるんでしょ?」

自閉スペクトラム症の診断を受けた子どもを持つ母親から、時折こんな話をお伺いします。

小学校のママ友と、子どもの手のかかるところについて話していた。どの家の子もゲームがやめられないなどの悩みは一緒。中でも特段こだわりが強く切り替えが難しいわが子の話題に。そんなとき、一人のお母さんが「でも自閉症って天才な子も多いんでしょ?〇〇君も才能があるんじゃない?」と。わが子はたしかに特性はあるものの、他の子と何も変わらないのに。

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発達障がいだからといって、才能に秀でている子が多いかといわれると、そのような研究はどこにもありません。おそらく、ドラマや映画で「ギフテッド」「サヴァン症候群」などのテーマが取り上げられ、一部のイメージが独り歩きしているのでしょう。

空気が読めないと「アスペ」、そそっかしいと「ADHD」、コミュニケーションが不器用だと「発達障がい」。いじりや自虐も含めて、今の社会では発達障がいに関連する言葉が大雑把に使われています。

一方、人によってはとても繊細なテーマであり、身近な問題となったときの捉え方も様々です。もちろん、すべての方が正しい知識を学び、身に着けていくのが一番いいですが、すぐに変わるのはなかなか難しいもの。

では、発達障がいをもつ子の親御さんは、周囲がどのような対応を取ってくれたらせめてもの支えとなるのでしょうか。

「~だから」と決めつけないで

どんな障がいを抱えていたとしても、その限界を定めるのは本人。

親切心から「〇〇ちゃんは難しいよね」「~なんだからやらなくていいよ」というのも、時に相手を傷つけることに繋がります。一方で、本人にとって苦手としていることを押し付けるのもまた相手を傷つけることになりますよね。

では、こんな状況のときはどうすればよいのでしょうか。

小学5年生の娘は、クラスでAちゃん、Bちゃん、Cちゃんと4人で仲良くしている。Bちゃんママによると、Aちゃんはイレギュラーな出来事が苦手だったり、感覚の過敏さがあり発達障がいと診断されているらしい。
そんな中、娘たちが夏休みに子どもたちだけでテーマパークに行きたいと言っている。不測の事態や長時間の移動が伴う外出にAちゃんを誘っていいのだろうか?娘自身も「大丈夫かな?」と気にしているので、Aちゃんは誘わせない方がいい?

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Aちゃんが辛くならないように、と心配する気持ちは大切ですし、もっともですよね。ですが、このとき理由も言われず誘われなかったら、AちゃんやAちゃんの親御さんはどう感じるでしょうか。

わからないときは率直に聞く

「ほかの人と違う」ことについては、センシティブになりやすく、ときにタブー視されることもあります。ですがどんな相手に対してもまずは、「わからないときは聞いてみる」のが大切なのではないでしょうか。

その際、配慮しながらも率直に聞いてくれると相手も素直に受け止めやすいもの。

「〇〇が苦手って言ってたけど大丈夫そう?」「前に~って言ってたからちょっと気になって、どうかな?」と、心配に思う気持ちと合わせて聞いてみるのがよいでしょう。子どもの年齢に合わせて、可能なら子ども同士で、難しいようであれば親が間に入るのがよいと思われます。

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発達障がいに限らず、苦手さや不便さに対する周囲の配慮は必要です。

ただ一方で、「違うから」と決めつけてしまうと、相手の居心地は悪くなってしまいます。塩梅の難しさはあれど、お互いを尊重しあえる「配慮」が広まっていくとよいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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